Excelで電気回路の計算や数学的な処理を行う際に、「複素数(Complex Number)」を扱うことがあります。
そのとき便利なのが、COMPLEX関数です。
この関数を使えば、実数部と虚数部から複素数を簡単に作成できます。
1. COMPLEX関数とは?
COMPLEX関数は、Excelで実数部と虚数部を指定して、複素数を文字列形式で返す関数です。
✅ 例:COMPLEX(3, 4) →
"3+4i"
2. 構文と引数の説明
引数 | 説明 |
---|---|
実数部 | 複素数の実数の部分(数値) |
虚数部 | 複素数の虚数の部分(数値) |
接尾辞 | 虚数部の記号(省略時は “i”、”j”も指定可) |
3. 基本的な使い方と例
例1:標準的な複素数の作成
結果:"3+4i"
例2:虚数部が負の場合
結果:"2-5i"
4. 引数suffix
の使い方
虚数部の記号として i
以外に j
も使えます。電気工学の分野では j
がよく使われます。
✅ suffix
には "i"
、"j"
、または空白 ""
を指定可能。
5. エラーになるケース
エラー | 原因 | 解決方法 |
---|---|---|
#VALUE! |
実数部・虚数部に数値以外が含まれている | 数値かどうかを確認する |
#NUM! |
接尾辞に "i" や "j" 以外を指定した |
"i" 、"j" 、または "" を使う |
6. COMPLEX関数と組み合わせて使える関数
COMPLEX関数単体では「複素数の作成」しかできません。
計算を行うには、以下の複素数対応関数と組み合わせます:
関数名 | 内容 | 使用例 |
---|---|---|
IMSUM | 複素数の加算 | =IMSUM(“2+3i”, “1+2i”) → “3+5i” |
IMSUB | 複素数の減算 | =IMSUB(“2+3i”, “1+2i”) → “1+i” |
IMPRODUCT | 複素数の乗算 | =IMPRODUCT(“2+i”, “1+i”) → “1+3i” |
IMDIV | 複素数の除算 | =IMDIV(“4+2i”, “1+i”) |
IMABS | 複素数の絶対値(モジュール) | =IMABS(“3+4i”) → 5 |
IMCONJUGATE | 複素共役 | =IMCONJUGATE(“3+4i”) → “3-4i” |
7. まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
関数名 | COMPLEX |
用途 | 実数部・虚数部から複素数を作成(文字列として返す) |
戻り値 | "a+bi" 形式の文字列 |
接尾辞 | "i" (初期値)、"j" 、または "" |
対応関数 | IMSUM、IMSUB、IMPRODUCT など |
主な利用分野 | 数学、電気工学、振動解析など |
✅ 実務での活用シーン
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電気回路計算でのインピーダンス表現(例:Z = R + jX)
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数学問題での複素数演算
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複雑な波の干渉計算やオイラーの公式の活用
COMPLEX関数は、複素数処理の出発点です。
複素数を作成した後は、他の「IM~関数」と組み合わせることで、加算・乗算・絶対値などの演算も可能です。
複雑な式もExcelで計算可能なので、理系の業務・学習にとても役立ちます!