ASIN関数とは?
Excelの ASIN関数 は、与えられた値の逆正弦(アークサイン)を返す関数です。
通常のSIN関数は「角度 → サイン値」ですが、ASIN関数はその逆で 「サイン値 → 角度」 を求めます。
書式:
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数値:-1以上1以下の範囲の値(サイン値)を指定
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戻り値:ラジアン単位の角度
👉 サイン値から「どの角度か」を逆算できる関数です。
基本的な使い方
例1:単純な値を計算
数値(サイン値) | 数式 | 結果(ラジアン) | 結果(度数) |
---|---|---|---|
0 | =ASIN(0) | 0 | 0° |
0.5 | =ASIN(0.5) | 0.523 | 30° |
1 | =ASIN(1) | 1.571 | 90° |
👉 角度を度数法(°)で表示したい場合は、DEGREES()
関数を組み合わせます。
=DEGREES(ASIN(0.5))
結果:30°
例2:セル参照で利用
A列にサイン値を入力し、B列で角度を計算する場合:
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B2セルに入力:
=DEGREES(ASIN(A2))
下にコピーすると、各サイン値に対応する角度(度数法)が求められます。
注意点
1. 入力範囲
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サイン値は -1 ~ 1 の範囲 でなければなりません。
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それ以外の数値を入力すると、
#NUM!
エラーになります。
2. 返り値の範囲
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ASIN関数は、-π/2 ~ π/2(-90°~90°) の範囲で答えを返します。
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つまり、30°と150°はどちらもサイン値が0.5ですが、ASINは「30°」を返します。
👉 Excelでは「主値(principal value)」と呼ばれる範囲の解が返ってくる仕様です。
応用例
例3:高さや角度を逆算
例えば、建物を見上げたときに「高さ ÷ 斜辺の長さ」から角度を求める場合。
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高さ = 5m
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斜辺(目線から建物頂点までの距離)= 10m
サイン値 = 5 ÷ 10 = 0.5
Excelでは:
=DEGREES(ASIN(0.5))
結果:30°
👉 これで「見上げる角度」が求められます。
例4:三角関数と逆関数の組み合わせ
ある角度を SIN
で計算し、その値を ASIN
に入れると、元の角度が戻ってきます(ただし範囲内の場合)。
例:
=DEGREES(ASIN(SIN(RADIANS(60))))
結果:60°
👉 ただし、範囲が -90°~90° のため、180°-60°=120° のような別解は返りません。
まとめ
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ASIN関数 は「サイン値 → 角度(ラジアン)」を返す逆三角関数
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範囲は -1~1 のみ有効
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返り値は -90°~90°(-π/2~π/2) に制限される
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DEGREES()
を組み合わせると度数法でわかりやすい -
高さや角度を逆算する計算、測量や物理シミュレーションなどで活用できる
👉 SIN関数とASIN関数を対で理解すると、「角度と比率を行き来する」計算が自在になります。