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ExcelのATAN2関数の使い方をわかりやすく解説【逆三角関数の応用】

ATAN2関数とは?

Excelの ATAN2関数 は、2つの引数(y座標・x座標)を基に、点(x, y) が原点から見てどの角度にあるかを返す関数です。
ATAN関数の拡張版で、象限(第1〜第4象限)を正しく判定して角度を計算できるのが特徴です。

書式:

=ATAN2(x_num, y_num)

  • x_num:X座標(横軸の値)

  • y_num:Y座標(縦軸の値)

  • 戻り値:ラジアン単位の角度(範囲:-π~π、つまり -180°~180°)

👉 ATAN関数は「比率 y/x」のみで角度を返すため、符号によって象限を判別できません。ATAN2はそれを解決するための関数です。


基本的な使い方

例1:象限ごとの違い

X Y 数式 結果(ラジアン) 結果(度数) 位置
1 1 =ATAN2(1,1) 0.785 45° 第1象限
-1 1 =ATAN2(-1,1) 2.356 135° 第2象限
-1 -1 =ATAN2(-1,-1) -2.356 -135° 第3象限
1 -1 =ATAN2(1,-1) -0.785 -45° 第4象限

👉 =DEGREES(ATAN2(x, y)) とすると度数法で角度を確認できます。


例2:セル参照で利用

A列にX座標、B列にY座標を入力し、C列で角度を求める場合:

C2セルに入力:

=DEGREES(ATAN2(A2,B2))

下にコピーすれば、座標ごとの角度が一括で求められます。


注意点

1. 引数の順番

ExcelのATAN2は「x, y」の順番で指定します。
他のソフトウェア(Python, C言語など)では「(y, x)」の順になっている場合があるので要注意です。

2. 返り値の範囲

  • ATAN2は -π~π(-180°~180°) の範囲で返します。

  • 0°から360°の範囲で扱いたい場合は、次のように調整します:

     

    =MOD(DEGREES(ATAN2(x, y)),360)


応用例

例3:方位角を求める

例えば地図上で原点を出発点とし、座標(10,10)の方位角を求める場合:

=DEGREES(ATAN2(10,10))
結果:45°(北東方向)

座標(-10,10)なら135°、座標(-10,-10)なら-135°(または225°)になります。


例4:ベクトルの角度を計算

ベクトル (x, y) の方向角を求めたいときに便利です。
ゲームプログラミングや物理シミュレーションなどでよく使われます。

例:ベクトル(3, -4)の角度

=DEGREES(ATAN2(3,-4))

結果:-36.87°(第4象限)


例5:ロボットやドローンの方向制御

  • 座標の移動先が分かっているとき、ロボットの向きを計算するのにATAN2を使用

  • 例えば、現在地(0,0)から目的地(5,8)への方角を求める:

=DEGREES(ATAN2(5,8))

結果:約32°

まとめ

  • ATAN2関数 は「座標 (x, y) → 角度」を求める逆三角関数

  • 引数の順番は (x, y) (Excel特有の仕様に注意)

  • 返り値は -180°~180° の範囲

  • MOD を使えば 0°~360° に変換可能

  • 座標計算、方位角、ベクトルの方向計算などに応用できる

👉 ATANとATAN2の違いを理解すると、Excelでの座標や角度計算が正確に行えるようになります。