Excelでビット演算(論理演算)を活用したいときに便利な関数のひとつが、BITOR関数です。
2つの数値の**ビットごとにOR演算(論理和)**を行い、計算結果を10進数で返してくれる関数です。
この記事では、BITOR関数の基本構文、演算の仕組み、実用的な活用方法までを、初心者にも分かりやすく紹介します。
1. BITOR関数とは?
BITOR関数は、Excelで2つの整数に対してビット単位の論理和(OR演算)を実行し、
その結果を10進数で返す関数です。
✅ 「少なくともどちらかのビットが1なら1」を返すのが論理和(OR)演算の特徴です。
2. 構文と引数の説明
| 引数 | 説明 | 
|---|---|
| 数値1 | 0以上の整数(負の値は不可) | 
| 数値2 | 0以上の整数(負の値は不可) | 
※ 両方の引数とも、正の整数(または0) でなければなりません。
3. ビットごとのOR演算とは?
OR演算のルール(論理和)
| ビットA | ビットB | 結果 | 
|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 | 
| 0 | 1 | 1 | 
| 1 | 0 | 1 | 
| 1 | 1 | 1 | 
つまり、どちらか一方でも1なら1になります。
4. 基本的な使い方と計算例
■ 例1:BITOR(5, 3)
- 
5(10進数)→ 0101(2進数)
- 
3(10進数)→ 0011(2進数)
- 
論理和(OR)演算: 
■ 例2:BITOR(12, 10)
- 
12 = 1100
- 
10 = 1010
- 
OR結果 = 1110= 14
5. 実務での応用テクニック
● 権限やフラグ管理に使う(ビットマスク)
| 権限種別 | ビット値 | 
|---|---|
| 読み取り権限 | 1(0001) | 
| 書き込み権限 | 2(0010) | 
| 実行権限 | 4(0100) | 
例えば、読み取りと実行を持つ → 1 + 4 = 5
これにより、ユーザーの権限レベルを1つの数値で管理できます。
● フラグを統合する処理に使う
複数のON/OFFフラグを1つの数値にまとめて格納する場合にも有効です。
6. よくあるエラーと対処法
| エラー/現象 | 原因 | 解決方法 | 
|---|---|---|
| #NUM!エラー | 負の数、または非整数が含まれている | 0以上の整数だけを指定する | 
| #VALUE!エラー | 引数が数値でない(文字列など) | セル内の値が正しいか確認する | 
| 結果が想定と違う | ビット演算の知識が不足している場合が多い | 2進数表記で確認してみると理解しやすい | 
7. BITAND・BITXORとの違い
| 関数 | 説明 | 
|---|---|
| BITAND | 両方のビットが1のときだけ1(論理積) | 
| BITOR | どちらかのビットが1なら1(論理和) | 
| BITXOR | どちらか一方だけが1のとき1(排他的論理和) | 
8. まとめ
| 項目 | 内容 | 
|---|---|
| 関数名 | BITOR(ビットOR関数) | 
| 主な用途 | 2つの整数に対してビット単位のOR演算を行う | 
| 戻り値 | OR演算の結果を10進数で返す | 
| 対応バージョン | Excel 2013以降(Windows) | 
| 応用例 | 権限管理、フラグの統合、設定管理、ビットマスク処理など | 
✔ 補足:他のビット関数シリーズもチェック!
| 関数名 | 機能 | 
|---|---|
| BITAND | 論理積(AND) | 
| BITOR | 論理和(OR) | 
| BITXOR | 排他的論理和(XOR) | 
| BITLSHIFT | 指定ビット数だけ左にシフト | 
| BITRSHIFT | 指定ビット数だけ右にシフト | 
BITOR関数は、ビット演算に基づく制御やフラグ処理、組み込み系ロジックのチェック、権限の管理などに役立つ関数です。
IT・製造・開発の現場ではもちろん、Excelでロジカルな管理をしたいユーザーにとっても非常に有用です。
ぜひ、他のビット演算関数と組み合わせて活用してみてください!
 
							
							
							
															 
							
							
							
															