Excelで「条件に一致する数値の積(掛け算の結果)を出したい」と思ったことはありませんか?
そんなときに活用できるのが、**DPRODUCT関数(ディープロダクト関数)**です。
この記事では、DPRODUCT関数の基本構文・使い方・複数条件の設定方法・PRODUCT関数との違い・実務での活用例までを解説します。
1. DPRODUCT関数とは?
DPRODUCT関数は、Excelのデータベース関数のひとつで、
「指定したデータベースの中から、条件に合致する数値の積(乗算結果)」を求める関数です。
✅ 複数行の数値を掛け合わせて結果を求める、という点が他の集計関数とは異なります。
2. 構文と引数の説明
引数 | 内容 |
---|---|
データベース | 集計対象の表全体(1行目にヘッダー行を含む) |
フィールド | 積を求める対象の列(列名・列番号・セル参照のいずれか) |
条件 | 条件を設定した範囲(ヘッダー付き) |
3. 基本的な使い方(1条件)
■ データ表(A1:C6)
商品 | 担当 | 数量 |
---|---|---|
A | 鈴木 | 2 |
B | 田中 | 3 |
A | 鈴木 | 5 |
C | 山田 | 4 |
A | 山田 | 6 |
■ 条件範囲(E1:E2)
商品 |
---|
A |
■ 関数の例
→ 商品=A の行の数量:2、5、6 → 2×5×6 = 60
4. 複数条件の応用例
■ 条件範囲(E1:F2)
商品 | 担当 |
---|---|
A | 鈴木 |
→ 条件「商品=A かつ 担当=鈴木」に一致:2、5 → 2×5 = 10
5. PRODUCT関数との違い
比較項目 | DPRODUCT関数 | PRODUCT関数 |
---|---|---|
条件指定 | セル範囲で表形式の条件を設定可能 | 条件を指定する機能はなし |
用途 | データベース形式の表から条件付き積を取得 | 単純なセル範囲の積を取得する |
柔軟性 | 条件に「=」「>=」「<>」なども使える | 条件処理はできない |
6. よくあるエラーと対処法
エラー / 問題 | 原因 | 対処法 |
---|---|---|
結果が 0 になる | 条件に一致する数値データがない | 条件の綴りミスやデータ内容を確認する |
#VALUE! エラー | フィールド名が間違っている、または列番号が不正 | フィールド指定を正しくする(”数量”など) |
数値が含まれない行 | 空白や文字列が対象列に含まれている | 対象列の値が数値であるかを確認する |
7. 実務での活用例
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条件に一致する商品の「数量」や「金額」の積を求める
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複数条件に合致したデータの乗算結果を分析
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工数や作業量など、積で評価する集計(例:作業人数×作業時間)
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数量や係数を使ったリスクスコアの算出
8. まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
主な用途 | 条件に合う数値データの**積(掛け算結果)**を取得 |
特徴 | 複数条件に対応し、柔軟な集計が可能 |
適した用途 | 数量、係数、スコアなどの掛け算を条件付きで行いたいとき |
類似関数 | DSUM(合計)、DAVERAGE(平均)、DCOUNT(件数)、PRODUCT(単純な積) |
✔ 補足:条件に「比較演算子」も使える
例:
商品 | 数量 |
---|---|
A | >=5 |
このように、条件範囲に**数式や演算子(>=, <=, <>など)**を入力すれば、柔軟な条件指定が可能です。
DPRODUCT関数は、DSUMなどと比べて使う機会は少ないかもしれませんが、
**「条件に合致する数値の積を自動で求めたい」**というニーズには唯一無二の関数です。
条件付きのかけ算が必要な業務において、強力な武器となる関数ですので、ぜひ覚えておきましょう。