「Excelで、表形式のデータから条件に合う数値だけを合計したい」
そんなときに便利なのが、**DSUM関数(ディーサム関数)**です。
この記事では、DSUM関数の構文・基本的な使い方・複数条件の設定方法・SUMIFSとの違い・実務での活用例まで、丁寧に解説します。
1. DSUM関数とは?
DSUM関数は、Excelのデータベース関数のひとつで、
「指定した条件に一致する行の中から、数値を合計する」関数です。
✅ 表(テーブル)形式のデータから、特定条件に合う合計値を取り出すのに最適です。
2. 構文と引数の説明
引数 | 内容 |
---|---|
データベース | 集計対象の表全体(1行目に列見出しが必要) |
フィールド | 合計したい列(列名の文字列 or 列番号 or セル参照) |
条件 | 条件を記述した範囲(1行目にフィールド名+その下に条件) |
■ フィールドの指定例
-
"売上"
(列名) -
3
(3列目) -
C1
(列名が入力されたセル)
3. 基本的な使い方(1条件)
■ データ表(A1:C6)
商品 | 担当 | 売上 |
---|---|---|
A | 鈴木 | 100 |
B | 田中 | 200 |
A | 鈴木 | 150 |
C | 山田 | 120 |
A | 山田 | 180 |
■ 条件範囲(E1:E2)
商品 |
---|
A |
■ 関数例
→ 結果:100 + 150 + 180 = 430
4. 複数条件の応用例
■ 条件範囲(E1:F2)
商品 | 担当 |
---|---|
A | 鈴木 |
→ 商品=A かつ 担当=鈴木 → 該当行は2件 → 合計:100 + 150 = 250
5. SUMIFS関数との違い
比較項目 | DSUM関数 | SUMIFS関数 |
---|---|---|
条件指定方法 | セル範囲で指定(表形式) | 関数内に直接記述(条件範囲・値を指定) |
データ形式 | データベース形式(見出し+行)に最適 | 一般的な集計用に適している |
柔軟性 | 条件に数式や比較演算子を含められる | 条件は固定式で指定 |
拡張性 | 条件を入力欄として設計しやすい | 動的フォームにはやや不向き |
6. 注意点とエラー対処
エラー・問題 | 原因 | 対処法 |
---|---|---|
結果が0になる | 条件が一致する行がない/空白行の合計 | 条件のスペルミスや空白セルを確認 |
#VALUE! エラー | フィールド名の誤記/条件の書式ミス | フィールド名や条件見出しと表の列名を一致させる |
条件が反映されない | 条件範囲が1行目の見出しと合っていない | 条件のヘッダーが正しいか確認 |
7. 実務での活用例
-
商品別/担当者別の売上合計を自動集計
-
月別売上などを条件付きで抽出・グラフ化
-
アンケート集計や業務日報の数値分析
-
見積・請求書テンプレートへの条件付き合計の埋め込み
8. まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
主な用途 | 条件に一致する数値の合計を、表形式データから求める |
メリット | 条件をセルで管理でき、動的な集計フォームが作れる |
対応関数 | DCOUNT(件数)、DCOUNTA(空白以外の件数)、DAVERAGE(平均) |
おすすめ用途 | 日報・売上・アンケートなどの集計表の自動化 |
DSUM関数は、条件に応じて数値を合計するための強力な関数です。
特に、条件をセルで設定できるため、入力フォームやダッシュボードにも活用できます。
複数条件や比較演算子(>=100
など)にも柔軟に対応できる点が、SUMIFSより優れている場合もあります。