Excelでは、データを「レコード」として扱い、個別のフィールド(項目)にアクセスしたい場面があります。
そんなときに役立つのが、FIELDVALUE関数です。
この記事では、FIELDVALUE関数の使い方、構文、活用例、注意点まで、丁寧に解説します。
1. FIELDVALUE関数とは?
FIELDVALUE関数は、Excelでレコード型データ(構造化データ)から、特定のフィールドの値を取り出す関数です。
✅ 例えば、Power Queryやデータ型(「地理」「株式」など)で取り込んだ構造化データから、「都市名」「株価」などの個別項目を抽出できます。
2. 構文と使い方
■ 構文
引数 | 内容 |
---|---|
値 | レコード型データ(例:地理、株式、Power Queryの出力) |
フィールド名 | 取得したいフィールド名(文字列) |
■ 例:地理データ型から「国名」を取り出す
A列 | B列 |
---|---|
日本 | =FIELDVALUE(A2, "国/地域") → 日本 |
アメリカ | =FIELDVALUE(A3, "国/地域") → アメリカ |
※A列のセルには、地理データ型が設定されている必要があります。
3. FIELDVALUE関数が使える状況
FIELDVALUE関数は、次のような構造化データに対して使うことができます:
対象 | 使用可能な例 |
---|---|
地理データ型 | 都市、国、州など |
株式データ型 | 企業名、株価、通貨、取引所など |
Power Queryからのレコード | JSON/XMLを展開した後の構造化出力など |
カスタムデータ型(Microsoft 365) | 独自データ型フィールドからの値抽出 |
4. 活用例
● 地理データ型を使って都市の人口を取得
A列 | B列 |
---|---|
東京 | =FIELDVALUE(A2, "人口") |
ニューヨーク | =FIELDVALUE(A3, "人口") |
→ A列が「地理」型に設定されていれば、各都市の人口を取得可能。
● 株式データ型から株価を取得
A列 | B列 |
---|---|
Microsoft | =FIELDVALUE(A2, "価格") |
Apple | =FIELDVALUE(A3, "価格") |
※A列のセルには「株式」データ型を設定しておく必要があります。
5. よくあるエラーと対処法
エラー | 原因 | 対処法 |
---|---|---|
#VALUE! |
セルがレコード型でない | データ型(地理・株式)に変換してから使用する |
#FIELD! |
フィールド名が存在しない/綴りミス | 正確なフィールド名を調べて指定する |
結果が空白になる | レコードはあるがそのフィールドの値が空 | データソースに値が登録されているか確認する |
6. 他の関数との違い
関数 | 主な用途 | FIELDVALUEとの違い |
---|---|---|
VLOOKUP |
範囲から条件一致の値を探す | 通常の表データに対応、構造化データには非対応 |
INDEX |
配列の行・列から値を取得 | レコード型では使えない |
FIELDVALUE |
構造化データ(データ型)から項目を取得 | 地理・株式・Power Queryなどのデータ型専用 |
7. まとめ
特徴 | 内容 |
---|---|
主な用途 | 地理・株式・Power Queryのデータから特定のフィールド値を取得 |
メリット | 柔軟な項目指定で、構造化データを活用できる |
注意点 | 対象セルがレコード型である必要がある |
対応バージョン | Microsoft 365、Excel 2021 以降 |
✔ 実務での活用シーン
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都市や国の統計情報(人口、通貨など)の一覧作成
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株価リストの作成と自動更新
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Power Queryで取り込んだレコードから必要項目だけを抜き出す
FIELDVALUE関数は、データ型対応のExcelならではの“次世代的な参照関数”です。
データを「単なる値」ではなく、「構造化された情報」として扱えることで、Excelの活用が一段と広がります。
Power Queryや地理データとあわせて、ぜひ実務で活用してみてください!