ExcelのFORECAST.ETS.CONFINT関数は、時系列予測における信頼区間を計算するための関数です。FORECAST.ETS関数を使用して将来の値を予測する際、予測がどれほどの精度を持つか、または予測値の範囲がどれくらいかを確認するために、この信頼区間が役立ちます。この記事では、FORECAST.ETS.CONFINT関数の基本的な使い方から、データ分析への応用例までを詳しく解説します。
FORECAST.ETS.CONFINT関数とは?
FORECAST.ETS.CONFINT関数は、時系列データの予測に基づいて、予測された値に対する信頼区間を提供します。信頼区間は、予測値がどの範囲内に入ると期待されるかを示し、予測の不確実性を評価するのに役立ちます。
FORECAST.ETS.CONFINT関数の基本的な構文
=FORECAST.ETS.CONFINT(対象日付, 値, 日付, [信頼レベル], [季節性], [データ完結性], [データの集計])
- 対象日付: 予測したい未来の日付。
- 値: 既知のy値(従属変数)のデータセット。
- 日付: 既知のyに対応する日付(独立変数)のデータセット。
- 信頼レベル(省略可能): 信頼区間の幅を設定します。デフォルトは95%(0.95)。
- 季節性(省略可能): 自動検出の有無(既定値は自動)。手動で整数を指定することも可能。
- データ完結性(省略可能): 欠損値の補完方法(既定値はゼロ補完)。
- データの集計(省略可能): 同じ日付に複数の値がある場合の集計方法(既定値は平均)。
FORECAST.ETS.CONFINT関数の動作イメージ
たとえば、ある商品の過去の売上データに基づいて、次の月の売上を予測し、その予測に対する信頼区間を知りたいとします。以下のようなデータがある場合に、信頼区間を計算します。
月 | 売上(y) |
1月 | 100 |
2月 | 150 |
3月 | 130 |
4月 | 170 |
5月 | 160 |
このデータに基づいて、次の月(6月)の売上の信頼区間を予測するには、次のようにFORECAST.ETS.CONFINT関数を使用します。
=FORECAST.ETS.CONFINT(DATE(2024,6,1), B2:B6, A2:A6)
結果として、6月の売上予測に対する信頼区間が返されます。
FORECAST.ETS.CONFINT関数の実際の例
以下に、FORECAST.ETS.CONFINT関数を使って信頼区間を計算する具体的な例を示します。
セル範囲 | FORECAST.ETS.CONFINT関数の使用例 | 結果 |
売上予測 | =FORECAST.ETS.CONFINT(DATE(2024,6,1), B2
, A2 ) |
20(信頼区間) |
気温予測 | =FORECAST.ETS.CONFINT(DATE(2025,1,1), C2
, B2 ) |
2.5(信頼区間) |
トラフィック | =FORECAST.ETS.CONFINT(DATE(2024,7,1), D2
, A2 ) |
150(信頼区間) |
信頼区間の解釈
FORECAST.ETS.CONFINT関数で得られる信頼区間は、予測値がどの範囲に入る可能性が高いかを示します。たとえば、売上予測で信頼区間が20であれば、予測された売上の±20の範囲内に実際の値が入る確率が95%であることを意味します(信頼レベルが95%の場合)。
- 狭い信頼区間: 予測が高精度であることを示します。
- 広い信頼区間: 予測に不確実性が高いことを示します。
FORECAST.ETS.CONFINT関数の応用例
売上予測と信頼区間の評価
ビジネスにおいて、売上予測を行う際に、予測値の信頼性を確認するために信頼区間を使用できます。たとえば、来月の売上を予測すると同時に、その予測に対する不確実性を評価するために役立ちます。
=FORECAST.ETS.CONFINT(DATE(2024,6,1), B2:B10, A2:A10)
この数式では、1月から5月の売上データに基づいて6月の売上予測と、その予測に対する信頼区間が返されます。
気温予測と信頼区間の計算
気温データに基づいて将来の気温を予測する際に、予測に対する信頼区間を計算して、予測精度を確認することができます。
=FORECAST.ETS.CONFINT(DATE(2025,1,1), C2:C12, B2:B12)
この数式では、気温の時系列データに基づいて、来年1月の気温予測とその信頼区間を計算します。
トラフィック予測と信頼区間の評価
ウェブサイトのトラフィックデータに基づいて、来月のトラフィックを予測し、その予測の精度を信頼区間で評価します。
=FORECAST.ETS.CONFINT(DATE(2024,7,1), D2:D12, A2:A12)
この数式は、過去のトラフィックデータに基づいて、7月のトラフィック予測と信頼区間を返します。
FORECAST.ETS.CONFINT関数の便利な豆知識
信頼レベルをカスタマイズ
デフォルトでは信頼レベルは95%ですが、これを変更することもできます。たとえば、99%の信頼レベルを指定したい場合は、次のように設定します。
=FORECAST.ETS.CONFINT(DATE(2024,6,1), B2:B12, A2:A12, 0.99)
信頼レベルを高く設定すると、信頼区間が広くなります。これは、より確実な予測を行うための調整です。
季節性の自動検出
季節性オプションを省略すると、Excelは自動的にデータの季節性を検出します。手動で季節性を指定する場合は、具体的な周期(例: 12ヶ月)を設定することもできます。
=FORECAST.ETS.CONFINT(DATE(2024,6,1), B2:B12, A2:A12, 0.95, 12)
この数式では、12ヶ月ごとの季節性を考慮した信頼区間を返します。
欠損データの処理
データに欠損がある場合、デフォルトではゼロ補完が行われますが、他の補完方法を選択することも可能です。
=FORECAST.ETS.CONFINT(DATE(2024,6,1), B2:B12, A2:A12, 0.95, 12, 1)
この数式では、欠損データがある場合に補間処理を行いながら信頼区間を計算します。
FORECAST.ETS.CONFINT関数のよくあるエラーと対処法
#VALUE!エラー
#VALUE!エラーは、日付やデータの形式が正しくない場合に発生します。データが正しい形式で入力されているか確認してください。
#NUM!エラー
#NUM!エラーは、信頼レベルや季節性、集計方法の値が無効な場合に発生します。これらの値が適切に設定されているか確認してください。
まとめ
ExcelのFORECAST.ETS.CONFINT関数は、時系列データを予測する際の信頼区間を計算するための強力なツールです。売上や気温、トラフィックなど、未来の値を予測するだけでなく、その予測の精度を評価するために活用できます。信頼区間を使って、データの不確実性を考慮しながら、より正確な意思決定を行いましょう!