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ExcelのMIRR関数で修正内部収益率(MIRR)を計算しよう!【基本から応用まで】

ExcelのMIRR関数は、投資のキャッシュフローを基に、投資の修正内部収益率(Modified Internal Rate of Return, MIRR)を計算するためのツールです。通常のIRR関数とは異なり、MIRR関数では、再投資率や資金調達コストを考慮することで、より現実的な投資評価を行うことができます。この記事では、MIRR関数の基本的な使い方から、応用的な活用方法までを解説します。

MIRR関数とは?

MIRR関数は、キャッシュフローに基づいて投資の修正内部収益率(MIRR)を計算する関数です。通常の内部収益率(IRR)では、キャッシュフローの再投資が同じIRRで行われると仮定されますが、MIRRは再投資に異なる利率を適用でき、より現実的な評価が可能です。また、資金調達コストも考慮することができます。

MIRR関数の基本的な構文

=MIRR(キャッシュフロー範囲, 資金調達コスト, 再投資利率)

  • キャッシュフロー範囲: 投資のキャッシュフロー(収益や支出)を含むセル範囲。最初の値は投資額(マイナス)、その後の値は収益(プラス)を示します。
  • 資金調達コスト: 投資資金の調達にかかるコスト(割引率)を指定します。
  • 再投資利率: キャッシュフローが再投資される場合の利率を指定します。

MIRR関数の動作イメージ

例えば、投資額が-1000ドルで、年間収益が200ドル、300ドル、400ドル、500ドルの場合、資金調達コストを10%、再投資利率を12%としたときのMIRRは次のように計算します。

=MIRR(A2:A6, 0.1, 0.12)

この場合、セル範囲A2からA6には以下のキャッシュフローが含まれます。

A
-1000
200
300
400
500

結果として、修正内部収益率(MIRR)は約10.44%となります。

MIRR関数の実際の例

例えば、次のようなキャッシュフローと条件がある場合、

A B
-5000 =MIRR(A1

, 0.08, 0.1) → 9.27%

1500
2000
2500
3000

このように、MIRR関数を使って、資金調達コストや再投資利率を考慮した収益率を計算することができます。

MIRR関数の応用例

資金調達コストを考慮した投資評価

MIRR関数は、資金調達コストを考慮できるため、現実的な投資評価が可能です。通常のIRR関数では、投資資金の調達コストを無視していますが、MIRR関数では、投資にかかるコスト(利子など)を計算に含めることができます。

例えば、あるプロジェクトに10000ドルを投資し、その資金の調達コストが8%、再投資利率が10%の場合、MIRRを計算するには次のように入力します。

=MIRR(A1:A5, 0.08, 0.1)

これにより、投資資金のコストを考慮した現実的な収益率が得られます。

再投資利率を指定した投資比較

MIRR関数では、再投資利率を指定できるため、キャッシュフローの再投資を考慮して収益率を計算することができます。再投資利率がプロジェクトごとに異なる場合でも、各プロジェクトのMIRRを計算して比較することで、どのプロジェクトが最も収益性が高いかを判断できます。

例えば、以下の2つの投資案件があるとします。

投資案件A 投資案件B
-8000 -10000
2000 3000
3000 4000
4000 5000

それぞれの資金調達コストを8%、再投資利率を10%としてMIRRを計算すると、次のように入力します。

=MIRR(A1:A4, 0.08, 0.1)

=MIRR(B1:B4, 0.08, 0.1)

これにより、投資案件Aと投資案件Bの収益性を比較できます。

現実的な投資戦略の策定

MIRR関数は、IRR関数よりも現実的な投資評価を行うためのツールです。IRRではキャッシュフローの再投資が同じIRRで行われると仮定されるのに対し、MIRRは再投資利率を調整できます。これにより、現実の投資戦略に合わせた評価が可能です。

例えば、プロジェクトのキャッシュフローを再投資する際に、市場の平均利率が変動することが予想される場合、MIRR関数を使って再投資利率をシミュレーションできます。

MIRR関数の便利な豆知識

MIRRとIRRの違い

IRR関数は、再投資を同じIRRで行うと仮定しますが、MIRR関数では、再投資に異なる利率を設定できるため、より現実的な投資評価が可能です。MIRR関数を使うことで、資金調達コストや異なる再投資利率を考慮し、現実に即した投資評価ができます。

NPV関数との組み合わせ

MIRR関数とNPV(正味現在価値)関数を組み合わせることで、さらに深い投資評価が可能です。NPV関数を使って将来のキャッシュフローを現在価値に割り引き、MIRRを使って投資収益率を計算することで、総合的な投資評価が行えます。

資金調達コストと再投資利率の重要性

MIRR関数を使う際は、資金調達コスト再投資利率が投資評価に大きく影響するため、これらの値を現実的に設定することが重要です。例えば、利子率や市場金利が変動する場合、再投資利率を正しく設定しないと、投資評価が現実から乖離してしまうことがあります。

MIRR関数のよくあるエラーと対処法

#NUM!エラー

#NUM!エラーは、MIRR関数が計算結果を求められない場合に発生します。これは、キャッシュフローがすべて正またはすべて負の場合に発生することがあります。正負両方のキャッシュフローが存在することを確認してください。

再投資利率や資金調達コストの設定ミス

MIRR関数の計算において、再投資利率や資金調達コストの設定が間違っていると正確な結果が得られません。再投資利率や資金調達コストが現実的な値かを確認し、設定ミスがないかチェックしましょう。

まとめ

ExcelのMIRR関数は、投資のキャッシュフローに基づいて修正内部収益率(MIRR)を計算するための強力なツールです。資金調達コストや再投資利率を考慮することで、通常のIRR関数よりも現実的な投資評価が可能になります。複数の投資案件の比較や現実的な投資戦略の策定に役立ちます。

MIRR関数を活用して、投資評価をさらに正確に行いましょう!