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ExcelのYIELD関数で債券の利回りを計算しよう!【基本から応用まで】

ExcelのYIELD関数は、債券の利回りを計算するための便利なツールです。債券投資において、利回り(イールド)は投資収益を評価する重要な指標です。債券の購入価格やクーポン利率、満期日などの条件に基づいて利回りを計算することで、投資判断ができます。この記事では、YIELD関数の基本的な使い方から応用的な活用法までを詳しく解説します。

YIELD関数とは?

YIELD関数は、定期的に利息が支払われる債券の年間利回り(イールド)を計算するための関数です。利回りは、債券の価格、クーポン利率、利息の支払い頻度、満期日などを基に算出され、投資の収益性を示します。債券投資における利回りの把握は、収益率を評価する上で重要です。

YIELD関数の基本的な構文

=YIELD(発行日, 満期日, 年間利率, 債券価格, 額面価格, 利払頻度, 基準日)

  • 発行日: 債券の発行日または購入日を日付形式で指定します。
  • 満期日: 債券の満期日を日付形式で指定します。
  • 年間利率: 額面価格に対するクーポン利率(年利)を指定します。
  • 債券価格: 債券の購入価格を額面価格100に対する割合で指定します(例: 98.5)。
  • 額面価格: 債券の額面価格を指定します(通常は100)。
  • 利払頻度: 利息支払い回数(1: 年1回、2: 半年に1回、4: 四半期に1回)。
  • 基準日(省略可能): 日付計算の基準を指定します(0: 実/実、1: 30/360米国方式、2: 実/360、3: 実/365、4: 30/360ヨーロピアン方式)。

YIELD関数の動作イメージ

例えば、債券が2024年1月1日に発行され、満期が2029年1月1日、年間利率が5%、購入価格が98.5、額面価格が100、利息は年に2回支払われる場合、YIELD関数で債券の年間利回りを次のように計算します。

=YIELD(DATE(2024,1,1), DATE(2029,1,1), 0.05, 98.5, 100, 2)

この場合、債券の利回りは約5.23%となります。

YIELD関数の実際の例

例えば、次のような債券の詳細がある場合、

A B C
発行日 2024/01/01
満期日 2029/01/01
年間利率 5%
購入価格 98.5
額面価格 100
利払頻度 2(年2回)
利回り =YIELD(A1, B1, 0.05, 98.5, 100, 2) → 5.23%

このように、YIELD関数を使うことで、債券の年間利回りを簡単に計算することができます。

YIELD関数の応用例

購入価格の変動による利回りの比較

債券を異なる価格で購入した場合、利回りがどのように変動するかを比較できます。例えば、98.5ドルで債券を購入した場合と97ドルで購入した場合の利回りを計算して比較することで、どの購入タイミングがより有利かを判断できます。

=YIELD(DATE(2024,1,1), DATE(2029,1,1), 0.05, 98.5, 100, 2)

=YIELD(DATE(2024,1,1), DATE(2029,1,1), 0.05, 97, 100, 2)

購入価格が下がると、利回りが上昇することがわかります。

利払頻度の影響を確認

債券の利息支払い頻度が年1回なのか、半年に1回なのか、四半期ごとなのかで利回りが異なります。YIELD関数を使って、利払頻度が利回りにどのように影響するかを計算できます。

例えば、年1回の支払いと年2回の支払いの利回りを比較するには次のように入力します。

=YIELD(DATE(2024,1,1), DATE(2029,1,1), 0.05, 98.5, 100, 1)

=YIELD(DATE(2024,1,1), DATE(2029,1,1), 0.05, 98.5, 100, 2)

支払い回数が多いほど、利回りに若干の違いが生じる場合があります。

異なる基準日方式での利回り計算

YIELD関数では、基準日(day count basis)の設定により、異なる市場の規則に従った利回りを計算できます。通常の債券市場では、米国式(30/360)、実日数計算方式(実/実)などが使われています。

例えば、米国方式で計算するには次のように入力します。

=YIELD(DATE(2024,1,1), DATE(2029,1,1), 0.05, 98.5, 100, 2, 1)

基準日によって利回りの結果が異なるため、市場に応じた正確な計算を行うことができます。

YIELD関数の便利な豆知識

利回りと購入価格の関係

債券の購入価格が額面価格よりも低い場合(ディスカウント)、利回りは上昇し、購入価格が額面価格よりも高い場合(プレミアム)、利回りは低下します。債券の価格が利回りに与える影響を把握することで、投資のタイミングを判断することができます。

債券の再投資タイミングを検討

YIELD関数は、既存の債券の利回りを計算して、再投資が有利かどうかを判断するのにも役立ちます。市場の利回りが変動した場合、既存の債券を売却して他の債券に再投資するかを考える際に、YIELD関数で利回りを比較できます。

クーポン利率と利回りの違い

クーポン利率は債券の発行時に決まる固定の利率で、利回り(YIELD)は投資家が実際に受け取る収益率です。債券の価格が変動することにより、同じクーポン利率でも異なる利回りが発生します。YIELD関数を使えば、現実的な投資収益率を計算できます。

YIELD関数のよくあるエラーと対処法

#NUM!エラー

#NUM!エラーは、YIELD関数に無効な数値が入力された場合に発生します。特に、発行日や満期日が適切でない場合や、クーポン利率や利回りが負の数の場合にこのエラーが発生します。発行日と満期日が正しいか、利率が正の数であるかを確認しましょう。

=YIELD(DATE(2024,1,1), DATE(2029,1,1), -0.05, 98.5, 100, 2)  // 結果は#NUM!エラー

#VALUE!エラー

#VALUE!エラーは、YIELD関数に無効なデータが含まれている場合に発生します。特に、発行日や満期日が正しい日付形式で入力されていない場合に発生します。日付を入力する際には、DATE関数を使って日付形式を正しく入力してください。

=YIELD(“2024/01/01”, “2029/01/01”, 0.05, 98.5, 100, 2)  // 結果は#VALUE!エラー

この場合、DATE関数を使用するか、正しい日付形式で入力する必要があります。

まとめ

ExcelのYIELD関数は、債券の利回りを計算するための非常に強力なツールです。クーポン利率、購入価格、満期日、利息の支払い頻度などを基に、投資収益率を評価することができます。債券投資の意思決定を行う際に、YIELD関数を活用して収益性をより正確に判断しましょう。