ExcelのINTERCEPT関数は、2つのデータセットの間で回帰直線のy切片（x=0のときのyの値）を計算するための関数です。これは、線形回帰分析において、独立変数がゼロのときに従属変数がどのような値を取るかを示します。この記事では、INTERCEPT関数の基本的な使い方から、データ分析への応用方法まで詳しく解説します。
INTERCEPT関数とは？
INTERCEPT関数は、与えられたxとyのデータセットの間で回帰直線のy切片を計算します。y切片は、回帰直線がy軸と交わる点の値を示し、x=0のときにyがどの値になるかを表します。
INTERCEPT関数の基本的な構文
=INTERCEPT(既知のy, 既知のx)
- 既知のy: yの値（従属変数）のデータセットを指定します。
- 既知のx: xの値（独立変数）のデータセットを指定します。
INTERCEPT関数の動作イメージ
たとえば、広告費（x）と売上（y）の関係を分析し、広告費がゼロのときに予想される売上を知りたい場合、次のようにINTERCEPT関数を使用します。
| 広告費（x） | 売上（y） |
| 100 | 200 |
| 150 | 300 |
| 200 | 400 |
| 250 | 500 |
このデータに基づいて、INTERCEPT関数を次のように使用します。
=INTERCEPT(B2:B5, A2:A5)
結果は100となります。これは、広告費がゼロであれば売上は100と予想されることを意味します。
INTERCEPT関数の実際の例
以下に、INTERCEPT関数を使って2つのデータセット間のy切片を求める例を示します。
| セル範囲 | INTERCEPT関数の使用例 | 結果 |
| B2
の売上 |
=INTERCEPT(B2
, A2 ) |
100 |
| C2
の温度 |
=INTERCEPT(C2
, D2 ) |
-5 |
| E2
の体重 |
=INTERCEPT(E2
, F2 ) |
50 |
このように、INTERCEPT関数を使って、データセットのy切片を数値として定量化することができます。
INTERCEPT関数の結果の解釈
INTERCEPT関数の結果で得られるy切片は、独立変数（x）がゼロであるときに従属変数（y）が取る値を示します。たとえば、広告費（x）と売上（y）の関係で、y切片が100である場合、広告費がゼロでも売上が100であることを意味します。
- 正の値（例: 100）：独立変数がゼロでも、従属変数は正の値を持つ（例: 広告費がゼロでも売上がある）
- 負の値（例: -5）：独立変数がゼロのとき、従属変数は負の値を持つ（例: x=0のとき、yは負）
- ゼロ（例: 0）：独立変数がゼロのとき、従属変数もゼロである
INTERCEPT関数の応用例
広告費ゼロ時の売上予測
ビジネスにおいて、広告費をかけない場合に売上がどうなるかを予測するのにINTERCEPT関数が役立ちます。過去の広告費と売上のデータに基づいて、広告費がゼロのときの売上を予測します。
=INTERCEPT(B2:B10, A2:A10)
この数式は、過去の広告費と売上のデータを元に、広告費がゼロのときに売上がどうなるかを示します。
気温ゼロ度時の電力消費予測
気温と電力消費量の関係を分析し、気温がゼロ度のときにどれだけの電力が消費されるかを予測するのにもINTERCEPT関数が使えます。
=INTERCEPT(D2:D12, C2:C12)
この数式では、過去の気温データを元に、気温がゼロのときの電力消費を予測します。
ダイエット時の基礎体重の分析
カロリー摂取と体重の関係を分析し、カロリーを摂取しないときの基礎体重を予測する際にINTERCEPT関数を使用できます。カロリー摂取量がゼロのときに予想される体重を計算できます。
=INTERCEPT(E2:E10, F2:F10)
この数式により、カロリーを摂取しなかった場合の体重を予測できます。
INTERCEPT関数の便利な豆知識
SLOPE関数との併用
SLOPE関数は、回帰直線の傾きを求める関数です。INTERCEPT関数と併用することで、回帰直線の方程式y = SLOPE × x + INTERCEPTを作成し、データセット間の関係を正確に表現できます。
たとえば、SLOPE関数とINTERCEPT関数を組み合わせて、回帰直線を完全に表す数式を得るには次のようにします。
=SLOPE(B2:B10, A2:A10) * x + INTERCEPT(B2:B10, A2:A10)
この数式により、回帰直線の傾きとy切片を使ってyを計算できます。
TREND関数との組み合わせ
TREND関数は、与えられたデータに基づいて直線上の予測値を計算する関数です。TREND関数を使って予測を行う際に、INTERCEPT関数で計算したy切片を組み合わせることで、予測値に基づく精度の高い結果が得られます。
データの整合性に注意
SLOPE関数と同様に、INTERCEPT関数でもxとyのデータセットが同じ長さである必要があります。データの長さが異なると、エラーが発生するため、事前にデータ範囲を確認してください。
INTERCEPT関数のよくあるエラーと対処法
#N/Aエラー
#N/Aエラーは、xとyのデータセットの長さが異なる場合に発生します。このエラーを回避するためには、xとyのデータが同じ長さであることを確認してください。
#DIV/0!エラー
#DIV/0!エラーは、xのデータがすべて同じ値の場合に発生します。このエラーは、回帰直線の傾きが計算できないことを示しており、xに変動があるか確認が必要です。
INTERCEPT関数のまとめ
ExcelのINTERCEPT関数は、2つのデータセット間の回帰直線のy切片を計算するための非常に便利なツールです。広告費ゼロ時の売上や気温ゼロ時の電力消費など、さまざまなデータ分析に役立ちます。他の統計関数と組み合わせることで、より深い洞察を得ることができ、データの関係を正確にモデル化することが可能です。INTERCEPT関数を使いこなして、データ分析をさらに効果的に行いましょう！
