ZTEST関数とは?
Excelの ZTEST関数 は、母平均に対する 片側検定のp値 を求めるための関数です。
標本データの平均が、仮定した母平均とどの程度差があるかを検定できます。
👉 簡単に言うと、「標本の平均は本当に母平均と同じと言えるのか?」を調べる関数です。
書式
引数の意味
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array:標本データの範囲
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x:仮定する母平均(比較対象の値)
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sigma(省略可):母集団の標準偏差(既知の場合のみ指定)
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省略した場合は標本データから標準偏差を推定
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返り値:片側検定のp値
基本的な使い方
例1:学生のテスト点数
あるクラスの点数が以下の通りだったとします。
点数 |
---|
72 |
75 |
80 |
78 |
74 |
母平均(全国平均)が 70点 と仮定して、このクラスの平均が有意に高いかどうかを調べます。
👉 結果が 0.04 と返った場合、p=0.04 < 0.05 なので「平均点が70より有意に高い」と言えます。
ZTESTの結果(p値)の解釈
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p < 0.05 → 母平均との差が有意(仮説を棄却できる)
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p ≥ 0.05 → 母平均との差は有意とは言えない
👉 ZTESTは「片側検定」なので、「平均が大きいか小さいか」を一方向に調べるときに使います。
両側検定を行いたい場合は、結果を2倍にして扱うこともあります。
応用例
例2:製品の品質検査
ある工場で製品の重量が基準値100gで設計されているとします。
サンプルを10個測定したところ、以下の値になりました。
重量(g) |
---|
99.8 |
100.2 |
100.1 |
99.9 |
100.0 |
100.3 |
99.7 |
100.1 |
99.9 |
100.2 |
「本当に平均が100gと言えるか」を確認するために:
👉 p値が 0.32 と出た場合、p > 0.05 なので「100gと有意な差はない」と判断できます。
注意点
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母分散が既知である前提
Z検定は、母集団の分散(標準偏差)が既知であることが前提です。
不明な場合は、標本データの標準偏差を使って近似します。 -
サンプルサイズが大きいときに適している
一般的に n > 30 のような大きめのサンプルで使うのが望ましいです。
小さいサンプルなら TTEST を使うのが一般的です。 -
Excelのバージョンによる違い
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Excel 2010以降では
Z.TEST
が推奨 -
旧バージョンでは
ZTEST
を使用
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まとめ
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ZTEST関数 は「母平均との差を片側検定する」ための関数
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書式:
=ZTEST(array, x, [sigma])
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返り値は p値(小さいほど有意差がある)
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p < 0.05 → 母平均と有意に異なる
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サンプルサイズが大きいときや母分散が既知のときに利用する
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新しいExcelでは Z.TEST 関数が推奨
👉 TTEST(母平均の差を比較)とZTEST(母平均に対する検定)を使い分けると、Excelでの統計解析がより実践的に使えるようになります。

