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ExcelのATAN関数(アークタンジェント)の使い方をわかりやすく解説【逆三角関数】

ATAN関数とは?

Excelの ATAN関数 は、与えられた値の逆正接(アークタンジェント)を返す関数です。
通常のTAN関数は「角度 → 傾き(高さ÷底辺)」を求めますが、ATAN関数はその逆で 「傾き → 角度」 を計算できます。

書式:

=ATAN(数値)
  • 数値:任意の実数(高さ ÷ 底辺 の比率)

  • 戻り値:ラジアン単位の角度

👉 TAN関数の結果から角度を逆算したいときに使います。


基本的な使い方

例1:単純な値を計算

数値(高さ/底辺) 数式 結果(ラジアン) 結果(度数)
0 =ATAN(0) 0
1 =ATAN(1) 0.785 45°
√3(1.732) =ATAN(1.732) 1.047 60°
-1 =ATAN(-1) -0.785 -45°

👉 角度を度数法(°)に変換するには DEGREES() を組み合わせます。

=DEGREES(ATAN(1))
結果:45°

例2:セル参照で利用

A列に「高さ ÷ 底辺」の比率を入力し、B列で角度を計算する場合:

  • B2セルに入力:

=DEGREES(ATAN(A2))
下にコピーすると、各比率に対応する角度(度数法)が求められます。

注意点

1. 返り値の範囲

  • ATAN関数は -π/2 ~ π/2(-90°~90°) の範囲で角度を返します。

  • 例えば「高さ/底辺 = 1」の場合、答えは 45° になりますが、本来は 225°(=180°+45°)も可能です。
    👉 ExcelのATANは「主値(principal value)」を返す仕様です。

2. 符号の扱い

  • 正の値 → 0°~90°の角度を返す

  • 負の値 → -90°~0°の角度を返す

  • 比率だけでは象限が特定できないため、符号を考慮したATAN2関数 が用意されています。


応用例

例3:坂道の角度を求める

ある坂道の高さと水平距離がわかっている場合、その角度を求めることができます。

  • 高さ = 10m

  • 底辺(水平距離) = 50m

傾き = 10 ÷ 50 = 0.2

Excelで:

=DEGREES(ATAN(0.2))

結果:11.31°(坂道の角度)


例4:座標から角度を計算

2次元座標(x, y)の比率から角度を求める場合にもATANが利用できます。

例:点(10, 10) の角度

=DEGREES(ATAN(10/10))
結果:45°

👉 ただし、xとyの符号によって象限が変わるので、より正確には ATAN2関数 を使います。


まとめ

  • ATAN関数 は「傾き(高さ÷底辺) → 角度」を返す逆三角関数

  • 返り値の範囲は -90°~90°

  • DEGREES() を組み合わせると度数法でわかりやすい

  • 坂道の傾斜角度や座標の角度を求めるのに活用できる

  • 象限を正しく扱いたい場合は ATAN2関数 の利用がおすすめ

👉 TANとATANをセットで理解すると、「角度と傾きの変換」がスムーズにできるようになります。