売上データを「担当者ごと」「月ごと」に集計したい——そんなとき、関数を書く必要はありません。ピボットテーブルを使えば、マウス操作だけで数秒で集計表ができあがります。

Googleスプレッドシートのピボットテーブルは、Excelのものとほぼ同じ考え方で使えます。ただしいくつか決定的な違いがあり、そこを知らないと戸惑います。

この記事では、作り方の手順からExcelとの違いまで、初めての方でも迷わないようにひとつずつ解説します。

ピボットテーブルとは

ひとことで言うと、大量のデータを、見たい切り口で自動集計してくれる機能です。

たとえば次のような「1行1件」の表があるとします。

日付 担当者 商品 金額
2026/4/1 佐藤 A 12,000
2026/4/3 鈴木 B 8,000
2026/5/2 佐藤 B 15,000
…(1,000行つづく)

この状態から「担当者別の売上合計」「月別の推移」「担当者×商品のクロス集計」を、数式を1つも書かずに作れます。しかも切り口はあとから自由に変えられます

ピボットテーブルの作り方

手順1:データ範囲を選ぶ

集計したい表の中のセルを、どこでもいいのでクリックします。表全体を選択してもかまいません。

準備で大切なこと:1行目に見出しを入れておく
「日付」「担当者」「金額」といった列の見出しが1行目に必要です。見出しがないと、ピボットテーブル側で項目名が表示されず、操作しづらくなります。
また、途中に空白行を入れないこと。空白行があるとそこまでしかデータ範囲と認識されないことがあります。

手順2:挿入 → ピボットテーブル

メニューの「挿入」→「ピボットテーブル」を選びます。

データ範囲の確認画面が出たら、挿入先を選びます。

  • 新しいシート … 通常はこちら。元データと分けられるので見やすい
  • 既存のシート … 同じシート内に置きたい場合

「作成」を押すと、空のピボットテーブルと、右側にエディタが表示されます。

手順3:4つの領域に項目を入れる

右側のエディタには、次の4つの枠があります。ここに列名をドラッグして入れるだけです。

領域 役割 入れる例
縦方向の項目 担当者、商品名
横方向の項目 月、カテゴリ
集計する数値 金額、数量
フィルタ 表示を絞る条件 年度、地域

たとえば行に「担当者」、値に「金額」を入れれば、担当者別の売上合計がすぐ表示されます。ここに列として「月」を足せば、担当者×月のクロス集計になります。

スプレッドシートならではの「候補」機能

✅ エディタの上部に「候補」という欄が出ることがあります。ここにはデータの中身を見て自動で作られた集計案が並びます。
「担当者ごとの金額の SUM」といった候補をクリックするだけで、設定が一発で完了します。

どう組み合わせればいいか分からないときは、まず候補を試してみるのが早道です。Excelにはない、スプレッドシートの便利なところです。

集計方法を変える(合計・個数・平均)

「値」に入れた項目は、初期状態では合計(SUM)で集計されます。これを変えるには、値の欄にある「集計」のプルダウンを切り替えます。

集計方法 使う場面
SUM(合計) 売上金額、数量の合計
COUNTA(個数) 件数を数えたいとき
AVERAGE(平均) 平均単価、平均点
MAX / MIN 最高額・最低額

構成比(%)で見る

金額そのものではなく「全体の何%か」を見たいときは、値の欄の「表示」を切り替えます。「合計に対する割合」を選べば、構成比の表になります。

売上の内訳を見るときに便利です。

日付を月別・年別にまとめる

日付をそのまま行に入れると、1日ずつバラバラに並んでしまいます。月単位でまとめたいときは、次のようにします。

  1. ピボットテーブル内の日付のセルを右クリック
  2. 「ピボット日付グループを作成」を選ぶ
  3. 「年-月」「四半期」「月」など、まとめたい単位を選ぶ

「年-月」を選べば 2026年4月、2026年5月… という並びになります。月ごとの推移を見るときの定番です。

スライサーで絞り込む

スライサーは、クリックで表示を切り替えられるボタン型のフィルタです。

  1. メニューの「データ」→「スライサー」を選ぶ
  2. ピボットテーブル上に配置する
  3. 絞り込みたい列(担当者、地域など)を指定する

設置すると、クリックだけで「佐藤さんの分だけ」「東京のみ」と切り替えられます。エディタを開かずに操作できるので、複数人で共有する集計表に向いています。

計算フィールドで独自の計算を追加する

元データにない項目を、ピボットテーブル内で計算して追加できます。

値の欄の「追加」→「計算フィールド」を選び、数式を入力します。

=金額 / 数量

これで平均単価の列が作れます。列名はそのまま名前で参照できるので、難しい記述は不要です。

グラフにする

ピボットテーブルの結果は、そのままグラフにできます。

  1. ピボットテーブルの範囲を選択する
  2. 「挿入」→「グラフ」

Excelのように「ピボットグラフ」という専用の機能名はありませんが、通常のグラフがそのまま連動します。ピボットテーブルの設定を変えれば、グラフも自動で変わります。

【重要】Excelのピボットテーブルとの違い

Excelに慣れている方が最初につまずくのが、この違いです。

Googleスプレッドシート Excel
データ更新 自動で反映される 手動で「更新」が必要
集計案の提示 「候補」機能あり おすすめピボットテーブル
操作画面 右側のエディタ 右側のフィールドリスト
グラフ 通常のグラフが連動 ピボットグラフ(専用機能)
スライサー あり(データメニュー) あり(ピボットテーブル分析)
共同編集 複数人で同時に操作できる 共有ブックで制限あり
いちばん大きな違いは「更新」です。
Excelでは元データを直しても、ピボットテーブルを更新するまで結果が変わりません。これを忘れて「数字が合わない」と悩むのはよくある話です。
一方スプレッドシートは元データを直した瞬間に集計結果も変わります。楽ですが、意図せず数字が変わることもあるので、共有時は注意してください。

Excel側の詳しい操作はExcelピボットテーブルの使い方完全ガイドにまとめています。両方を使い分ける方はあわせてご覧ください。

よくあるトラブルと対処

データを追加したのに集計に含まれない

ピボットテーブルのデータ範囲が固定されているのが原因です。エディタ上部の範囲表示をクリックして、追加した行まで含む範囲に直します

あらかじめ列全体(例:A:D)を範囲に指定しておくと、行が増えても自動で含まれるので楽です。

数値が合計されず「個数」になってしまう

その列に文字列が混ざっている可能性があります。「1,000円」のように単位が入っていたり、数字が文字列として入力されていると、合計できません。

元データを数値だけにするか、表示形式で単位を付けるようにしてください。

空白の項目が出てくる

元データに空白セルや余分な行が含まれています。データ範囲を見直すか、フィルタで空白を除外します。

思った並び順にならない

行や列の欄にある「並べ替え」で、昇順・降順や並べ替えの基準(項目名か集計値か)を指定できます。

まとめ

  • ピボットテーブルは数式なしで集計表を作る機能。切り口はあとから自由に変えられる
  • 作り方は「挿入」→「ピボットテーブル」→ 行・列・値・フィルタに項目を入れるだけ
  • 迷ったら「候補」を使う。データを見て集計案を自動提示してくれる(スプレッドシート独自)
  • 日付は右クリック →「ピボット日付グループを作成」で月別・四半期別にまとめられる
  • Excelとの最大の違いは「更新」。スプレッドシートは元データを直すと即座に反映される
  • データを追加しても集計されないときは、データ範囲を見直す(列全体を指定しておくと安心)

まずは手元の表で、行に1項目・値に1項目を入れるところから試してみてください。数秒で集計表ができる感覚がつかめれば、あとは組み合わせるだけです。

※画面の表記やメニューの位置は、更新により変わることがあります。

関連記事:Excelピボットテーブルの使い方完全ガイドスプレッドシートのQUERY関数スプレッドシートの条件付き書式