受信トレイがメルマガや通知メールで埋まり、本当に読むべきメールが埋もれてしまう——Gmailのフィルタは、これを自動で解決する機能です。

ただし設定する前に、ひとつ知っておくべきことがあります。

Gmailに「フォルダ」はありません。あるのは「ラベル」です。

この違いを理解しないまま設定すると、「振り分けたはずのメールが受信トレイにも残っている」と混乱します。まずそこから整理しましょう。

ラベルとフィルタの違い

ラベル フィルタ
役割 分類のための名札 自動で処理するルール
例えるなら 付箋 仕分け係
できること メールに目印を付ける ラベルを付ける・既読にする・転送するなど

ラベルは「貼るもの」、フィルタは「貼る作業を自動化するもの」です。ラベルだけ作っても自動では付きません。フィルタとセットで初めて振り分けが動きます。

フォルダとの決定的な違い:1通に複数付けられる

フォルダはファイルを「移動」させるので、1通のメールは1か所にしか置けません。一方ラベルは1通のメールに何枚でも貼れます

たとえば取引先からの請求書メールに「A社」と「請求書」の2つを付けておけば、どちらの切り口からでも探せます。これはフォルダにはできない使い方です。

そして、ラベルを付けただけではメールは受信トレイにも残ります。受信トレイから消したい場合は、後述する「受信トレイをスキップ」を使います。

【前提】フィルタはパソコンからしか作れません

意外な落とし穴ですが、スマホのGmailアプリでは新しいフィルタを作成できません(iPhone・Androidとも)。

スマホしか使えない場合は、ブラウザでGmailを開き、パソコン版の表示に切り替えてから設定してください。画面が小さく操作しづらいので、可能ならパソコンから行うことをおすすめします。

なお、作ったフィルタはスマホでもきちんと動きます。動かないのは「作成」だけです。

作り方①:届いたメールから作る(最速)

「このメールと同じものを、今後は自動で処理したい」という場合はこれが一番速い方法です。

  1. 対象のメールを開く
  2. 右上のその他アイコン(縦に3つの点)をクリック
  3. 「メールの自動振り分け設定」を選ぶ
  4. 条件が自動で入力された状態になるので、確認して「フィルタを作成」
  5. 処理内容(ラベルを付ける、など)を選んで「フィルタを作成」

差出人のアドレスが自動で入るので、タイプミスの心配がありません。まずはこの方法から試すのがおすすめです。

作り方②:条件を指定して作る

複雑な条件を組みたい場合は、こちらです。

  1. 検索窓の右端の絞り込みアイコン(横線3本)をクリック
  2. 条件を入力する
  3. 右下の「フィルタを作成」をクリック
  4. 処理内容を選んで「フィルタを作成」

設定(歯車) → すべての設定を表示 → フィルタとブロック中のアドレス → 「新しいフィルタを作成」からでも同じ画面に進めます。

指定できる条件

項目 指定できるもの
From 差出人。@example.com と書けばその会社の全員
To 宛先。自分の別アドレス宛の仕分けに使える
件名 件名に含まれる語
含む / 含まない 本文を含めたキーワード。除外条件も指定できる
サイズ 「〜より大きい」など
添付ファイルあり チェックボックス

「含む」の欄には検索演算子がそのまま使えます。たとえば has:attachment filename:pdf と入力すれば「PDFが添付されたメール」が条件になります。

演算子については Gmailの検索のやり方 で一覧を解説しています。検索で欲しい結果が出る条件を先に確かめてから、フィルタにする——これが失敗しない手順です。

フィルタでできる処理

処理 効果 使いどころ
ラベルを付ける 分類の名札を貼る 基本。まずこれ
受信トレイをスキップ 受信トレイに表示しない メルマガ。要注意(後述)
既読にする 未読件数に含めない 自動通知メール
スターを付ける 目印を付ける 重要な取引先
迷惑メールにしない 誤判定を防ぐ 大事な相手に必ず設定
転送する 別アドレスへ送る 事前に転送先の登録が必要
常に重要マークを付ける 優先トレイで上に来る 上司・取引先
削除する ゴミ箱へ直行 慎重に(後述)

実用例5つ

① メルマガを受信トレイから外す

条件:From に news@info@、または「含む」に unsubscribe(配信停止リンクの定番文字)
処理:ラベル「メルマガ」を付ける + 受信トレイをスキップ

受信トレイが一気に静かになります。読みたいときはラベルをクリックすればまとめて読めます。

② 自動通知メールを既読にしてまとめる

条件:From に noreply または no-reply
処理:ラベル「通知」+ 既読にする + 受信トレイをスキップ

システムからの自動通知は、届いたことを知る必要が薄いものが多いはずです。未読バッジの数字が減るだけでも精神的に楽になります。

③ 大事な取引先を迷惑メールに入れさせない

条件:From に @torihikisaki.co.jp
処理:迷惑メールにしない + 常に重要マークを付ける + スターを付ける

これは受信トレイをスキップしてはいけません。目立たせるのが目的だからです。「重要なメールが迷惑メールに入っていた」という事故を防げます。

④ 請求書だけ集める

条件:件名に「請求書」、または「含む」に filename:pdf 請求
処理:ラベル「請求書」を付ける(受信トレイには残す)

月末にラベルを開けば、その月の請求書が一覧できます。

⑤ 自分がCCのメールを分ける

条件:「含む」に cc:自分のアドレス
処理:ラベル「CC」を付ける

宛先(To)が自分のメールは返信が必要、CCは共有されているだけ——という優先度の差が一目で分かるようになります。

既にあるメールにも適用する

フィルタは通常、これから届くメールにしか効きません。過去のメールにも適用したい場合は、最後の画面にある次のチェックを入れてください。

「一致するスレッドにもフィルタを適用する」(◯件)

件数が表示されるので、その数字が想定と大きく違わないか必ず確認してください。数千件と出たなら、条件が広すぎる可能性があります。

特に「削除する」処理と組み合わせる場合、このチェックを入れた瞬間に過去のメールが一括でゴミ箱に入ります。取り返しがつかないので、条件を検索で確かめてからにしてください。

設定してから後悔しやすい3つの落とし穴

落とし穴1:受信トレイをスキップすると本当に気づかない

最もよくある失敗です。受信トレイをスキップしたメールは、こちらから見に行かないと存在に気づきません。

「メルマガだと思って設定したら、実は重要な通知も同じ差出人から来ていた」というケースがあります。

対策は次の2つです。

  • スキップさせるのは本当に読まなくてよいものだけにする
  • 迷ったらスキップは付けず、ラベルだけ付ける(受信トレイには残るが色分けされて見やすくなる)

落とし穴2:「削除する」は最終手段

フィルタの削除はゴミ箱へ移動で、30日後に完全削除されます。つまり気づかないまま消えるということです。

迷惑な相手であっても、まずは「受信トレイをスキップ+ラベル」で様子を見て、問題ないと確認できてから削除に変えるのが安全です。

落とし穴3:複数のフィルタが同時に効く

Gmailのフィルタは条件に合うものすべてが適用されます。「上から順に1つだけ」ではありません。

あるフィルタで「ラベルを付ける」、別のフィルタで「削除する」と設定していると、両方が実行されて結果的に消えます。思ったとおりに動かないときは、他のフィルタとぶつかっていないか確認してください。

フィルタの確認・編集・削除

設定(歯車アイコン) → すべての設定を表示フィルタとブロック中のアドレス を開くと、作成済みの一覧が表示されます。

  • 編集:条件や処理を変更できる
  • 削除:フィルタだけが消え、すでに付いたラベルは残る
  • エクスポート:設定をファイルに保存できる。別アカウントへインポートして引き継げる

アカウントを移行するときは、エクスポート機能を使うと設定を作り直さずに済みます。

よくある質問(FAQ)

Q. 振り分けたのに受信トレイにも残っています

ラベルは付箋を貼るだけなので、受信トレイからは消えません。消したい場合は「受信トレイをスキップ」にもチェックを入れてください。

Q. ラベルを削除するとメールも消えますか?

消えません。名札が外れるだけで、メールは「すべてのメール」に残ります。フォルダと違い、ラベルは入れ物ではないためです。

Q. フィルタが動いていないようです

次の3点を確認してください。

  • 条件のアドレスや文字列が正確か(全角半角の違いもよくある原因です)
  • その条件で検索してヒットするか——ヒットしなければ条件が間違っています
  • 他のフィルタと競合していないか

Q. 迷惑メールに入ったメールにもフィルタは効きますか?

迷惑メールと判定されたものは、フィルタより先に振り分けられてしまうことがあります。大事な相手には「迷惑メールにしない」を設定しておいてください。

Q. ラベルに色を付けられますか?

できます。左メニューのラベル名にカーソルを合わせ、その他アイコン → ラベルの色、から選べます。受信トレイに残す運用なら、色を付けると一覧性が大きく上がります。

まとめ

  • Gmailにフォルダはない。あるのはラベル(名札)と、それを自動で貼るフィルタ
  • ラベルは1通に何枚でも貼れる——フォルダにはできない使い方ができる
  • フィルタの作成はパソコンのブラウザから(スマホアプリでは作れない)
  • まずは届いたメールから「メールの自動振り分け設定」で作るのが速い
  • 受信トレイをスキップは慎重に。迷ったらラベルだけ付ける
  • 「削除する」と「一致するスレッドにも適用」の組み合わせは取り返しがつかない

コツは、いきなりフィルタを作らず、まず検索して結果を確かめることです。検索で意図どおりのメールが並べば、その条件はそのままフィルタにできます。

受信トレイを片付けたい方は、あわせて Gmailの容量がいっぱいのときの対処法 もご覧ください。不要なメールを整理すれば、保存容量の節約にもつながります。

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ExcelやWord、Windows、Googleスプレッドシートなど、ビジネスで使うITツールの使い方を初心者にもわかりやすく解説しています。関数の使い方から実務で役立つ応用テクニックまで、画像付きでていねいに紹介。パソコン操作で困ったときの頼れる情報源を目指しています。