Googleスプレッドシートで名簿や住所録を作っていると、「漢字に自動でふりがなを振りたい」と思う場面がありますよね。ExcelのPHONETIC関数のような使い方を探している方も多いはずです。

先に結論をお伝えします。Googleスプレッドシートには、ふりがなを取得する「PHONETIC関数」は存在しません。 そのため =PHONETIC(A1) と入力しても動きません。ネット上にはスプレッドシートでPHONETIC関数が使えるかのように書かれた記事もありますが、これは誤りなので注意してください。

ただし、ふりがなを振る方法そのものは存在します。この記事では、用途に応じた3つの方法を、メリット・デメリットと注意点まで含めて解説します。最後に「どれを選べばいいか」の早見表も用意しました。

前提:スプレッドシートに「PHONETIC関数」は無い

ExcelにはPHONETIC関数があり、セルの漢字からふりがなを取り出せます。しかしGoogleスプレッドシートには、この関数も、ルビ(ふりがな)を振る専用機能もありません。=PHONETIC(A1) と入力すると #NAME? などのエラーになります。

そこで実務で使われているのが、次の3つの方法です。

方法 向いているケース 外部サービス
① 別セル+小フォントで手動入力 少量・確実さ重視・社外秘データ 不要
② GAS+ひらがな化APIで自作関数 大量・自動化したい 必要(注意あり)
③ Excelで読みを振って値貼り付け すでにExcelを併用している 不要

方法①:別セルに小さいフォントで手動入力する(最も確実)

もっとも手軽で確実なのが、ふりがな専用のセルを用意して手で入力する方法です。関数も外部サービスも使わないため、トラブルが起きません。

  1. 漢字セルの上または隣に、ふりがな用のセルを用意する
  2. そこに読みを入力し、フォントサイズを小さく(6〜8pt程度)設定する
  3. 位置を合わせたいときは、半角スペースで字間を微調整する

漢字の真上にルビのように重ねたい場合は、「挿入」→「図形描画」でテキストを作り、漢字の上に配置する方法もあります。

メリット:外部サービスに頼らないので、氏名などの個人情報が社外に出ません。読みも100%自分の意図どおりです。
デメリット:件数が多いと手間がかかります。数十件までの名簿向きです。

方法②:GAS+ひらがな化APIで自作関数を作る(大量・自動化向け)

件数が多いなら、Google Apps Script(GAS)でふりがな用のカスタム関数を自作するのが効率的です。スプレッドシート自体に機能が無いぶんを、外部の「ひらがな化API」に漢字を送って読みを取得することで補います。ここでは会員登録不要のよみたんAPIを使います。

導入手順

  1. スプレッドシートの「拡張機能」→「Apps Script」を開く
  2. 下のコードを貼り付けて保存する(保存は Ctrl+S)
  3. エディタ上で一度 ▶(実行) を押し、初回の承認(許可)を済ませる
  4. シートに戻り、任意のセルで =getFurigana(A2) と入力する
/**
 * 漢字を含む文字列のふりがな(読み仮名)を返すカスタム関数。
 * 会員登録不要の「よみたんAPI」を利用します。
 * @param {string} text 読み仮名を取得したい文字列(例:A2)
 * @param {string} type "h"=ひらがな(既定) / "k"=カタカナ
 * @return {string} 読み仮名
 * @customfunction
 */
function getFurigana(text, type) {
  if (!text) return "";
  type = (type === "k") ? "k" : "h"; // 既定はひらがな
  var word = String(text).replace(/[\s\r\n\t ]+/g, ""); // 空白・改行を除去

  // 同じ語はキャッシュで再利用し、API呼び出しを節約(レート制限対策)
  var cache = CacheService.getScriptCache();
  var key = type + ":" + word;
  var hit = cache.get(key);
  if (hit) return hit;

  try {
    var url = "https://yomi-tan.jp/api/yomi.php?ic=UTF-8&oc=UTF-8&k="
              + type + "&n=3&t=" + encodeURIComponent(word);
    var res = UrlFetchApp.fetch(url, { muteHttpExceptions: true });
    if (res.getResponseCode() !== 200) return "(取得失敗)";
    var yomi = res.getContentText().split(",")[0];
    cache.put(key, yomi, 21600); // 6時間キャッシュ
    return yomi;
  } catch (e) {
    return "(エラー)";
  }
}

使い方は =getFurigana(A2) でひらがな、=getFurigana(A2,"k") でカタカナになります。下方向にコピーすれば列全体に適用できます。

このコードは、よく紹介されている10行版に対して、通信エラー時の対処(取得失敗の表示)・キャッシュによるAPI節約・全角スペースの除去・カタカナ切替を加えた改良版です。「数時間後に急にエラーで表示されなくなった」というトラブルを起きにくくしています。

方法②を使う前に知っておくべき注意点

便利な反面、外部サービスを使う以上、次の点は必ず理解しておいてください。

  • 個人情報の取り扱い:この方法は、セルの文字(=氏名など)を外部のAPIサーバーに送信します。社員名簿や顧客名簿のような社外秘・個人情報を扱う場合は、社内ルールや規約を確認し、安易に送らないでください。機微なデータでは方法①が安全です。
  • 利用条件:よみたんAPIは非商用なら無料ですが、企業内利用は有料です。1日あたりのリクエスト上限などの制限もあります。
  • 読みの精度:漢字からの読み推測は100%ではありません。特に難読の人名や、複数の読みがある漢字(例:「東」=あずま/ひがし)は誤ることがあります。重要なデータは必ず目視で確認してください。
  • サービス依存:APIが停止・仕様変更すると関数も動かなくなります。長期運用するデータは、取得後に値として貼り付けて確定しておくと安心です。

方法③:Excelで読みを振ってから値として貼り付ける

すでにExcelを併用しているなら、Excel側のPHONETIC関数でふりがなを取得し、その結果を「値として」スプレッドシートに貼り付けるのが手堅い方法です。

  1. Excelで =PHONETIC(A1) を使い、ふりがなを取得する
  2. その列をコピーし、スプレッドシートに「値のみ貼り付け」で貼る

ここで1つ注意があります。ExcelのPHONETICは「漢字から読みを推測している」のではなく、入力時に記録された読み情報を取り出しているだけです。そのため、Webやシステムからコピペした漢字・CSVで取り込んだ漢字は、読み情報を持たず空欄になります。その場合はExcelの「ホーム」タブのふりがな表示・編集機能で読みを付与してから、上記の手順を行ってください。

どの方法を選ぶ?目的別の早見表

あなたの状況 おすすめ
件数が少ない/個人情報で外部送信したくない 方法①(手動)
件数が多い/自動化したい(機微情報ではない) 方法②(GAS+API)
Excelを併用している 方法③(Excel経由)

補足:なぜExcelとスプレッドシートで仕組みが違うのか

ExcelのPHONETICは「入力したときの読み」をセルに一緒に記録しておき、それを呼び出す仕組みです。だからこそ、外部から貼り付けた漢字では空欄になります。

一方、方法②のGAS+APIは、入力履歴ではなく漢字そのものから読みを推測します。仕組みが根本的に違うため、Excelでは空欄になる「コピペした漢字」にも読みを返せるのが利点です(ただし推測なので精度は完璧ではありません)。この違いを理解しておくと、どちらを使うべきか判断しやすくなります。

まとめ

GoogleスプレッドシートにPHONETIC関数は存在しません。ふりがなを振るには、次の3つから状況に合うものを選びましょう。

  • 少量・確実・安全なら → 別セルに手動入力(方法①)
  • 大量・自動化なら → GAS+ひらがな化API(方法②/個人情報の送信に注意)
  • Excel併用なら → Excelで読みを振って値貼り付け(方法③)

「関数一発」で済まないぶん少し手間はかかりますが、仕組みを理解すれば確実にふりがなを付けられます。扱うデータが個人情報かどうかで方法を選ぶのが、いちばんのポイントです。

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IT解決チャンネル編集部
ExcelやWord、Windows、Googleスプレッドシートなど、ビジネスで使うITツールの使い方を初心者にもわかりやすく解説しています。関数の使い方から実務で役立つ応用テクニックまで、画像付きでていねいに紹介。パソコン操作で困ったときの頼れる情報源を目指しています。