100ページの資料をPDFで配ったら、「どこを見ればいいですか」と聞かれた——しおりが付いていれば、この質問は起きません。

ただし、しおりの作り方には順番があります。PDFになってから付けようとすると有料ソフトが必要になり、元の文書で作れば無料で済みます。この記事では、無料でできる手順と、できないことの線引きを解説します。

しおりとは|本文の目次とは別物

まず用語を整理します。混同されやすい2つは、まったく別のものです。

しおり(ブックマーク) 本文の目次
場所 画面左のパネル 本文の中(1〜2ページ目)
印刷すると 出ない 出る
動き クリックでそのページへ飛ぶ ページ番号を見て自分でめくる
どこでも使えるか 常に表示できる 目次のページまで戻る必要がある

しおりは「常に横にある目次」です。長い資料ほど効きます。両方あって困ることはないので、分厚い資料なら両方入れておくのが親切です。

結論|無料で作るならWordから。PDFになってからでは遅い

状況 できること 費用
元がWord 見出しから自動でしおりが付く 無料
元がPowerPoint スライドのタイトルがしおりになる 無料
元がExcel しおりは作れない
PDFしか手元にない Acrobat Proが必要 有料

Adobe Acrobat Readerには、しおりを追加・削除する機能がありません。すでに付いているしおりを表示して使うことはできますが、作ることはできません。作成には製品版のAcrobatが必要です。

つまり元の文書が残っているうちに作っておくのが正解です。

Wordでしおり付きPDFを作る

前提|「見出しスタイル」が設定されていること

ここが最大の落とし穴です。しおりは見出しスタイルから自動生成されます。見た目が見出しでも、スタイルが設定されていなければしおりはできません。

よくあるのがこれです。

  • 文字を大きくして太字にしただけ——見た目は見出しでも、Wordは本文として扱っています
  • 手動で「1.」「2.」と番号を振っただけ——同じく本文です

この状態でPDFにしても、しおりは1つも作られません。「設定したのに出ない」の原因はほぼこれです。

見出しスタイルを当てる

  1. 見出しにしたい行にカーソルを置く
  2. 「ホーム」タブのスタイル一覧から「見出し1」をクリック
  3. その下の階層は「見出し2」「見出し3」を当てる

見た目が気に入らなければ、スタイルを右クリックして「変更」からフォントや色を調整できます。見た目を変えても、見出しとしての扱いは保たれます。

階層はそのまましおりの階層になります。見出し2は見出し1の下にぶら下がる形で表示されます。

PDFとして書き出す

  1. 「ファイル」→「名前を付けて保存」
  2. ファイルの種類で「PDF」を選ぶ
  3. 保存ダイアログの「オプション」ボタンをクリック
  4. 「次を使用してブックマークを作成」にチェックを入れる
  5. 「見出し」を選んでOK
  6. 保存する

これでしおり付きのPDFができます。詳しい変換手順はWordをPDFに変換する方法にまとめています。

重要|「印刷」でPDFにするとしおりは消える

この方法では絶対にしおりは作られません。

  • Ctrl+Pから「Microsoft Print to PDF」に印刷する
  • その他、プリンター経由でPDF化する方法

理由は単純で、印刷はページの見た目だけを渡す仕組みだからです。見出しの構造は伝わりません。

同じ理由で、白黒化や圧縮のためにPDFを印刷し直すと、元々付いていたしおりも失われます。作業の順番に注意してください。

しおりを残したいなら、必ず「名前を付けて保存」でPDFにしてください。

PowerPointの場合|スライドのタイトルがしおりになる

PowerPointも同じ考え方です。各スライドのタイトルがしおりになります。

  1. 「ファイル」→「エクスポート」→「PDF/XPSドキュメントの作成」
  2. 「オプション」をクリック
  3. ブックマークを作成する設定を有効にする

ここでも前提があります。スライドに「タイトル」が入っていることです。

タイトル用の枠を削除して、代わりにテキストボックスで見出しを置いているスライドは——見た目にタイトルがあっても、しおりには出てきません。Wordの見出しスタイルとまったく同じ構図です。

変換手順はPowerPointをPDFに変換する方法で解説しています。

Excelの場合|しおりは作れない

Excelの書き出しオプションには、ブックマークを作る項目がありません。シートを複数まとめてPDFにしても、シート名がしおりになることはありません。

どうしても必要なら、次のどちらかになります。

  • Wordに貼り付けて、見出しを付けてからPDF化する
  • Acrobat Proで後から付ける

ただしExcelの資料でしおりが要る場面は多くありません。シート見出しで足りることがほとんどです。ExcelをPDFに変換する方法もあわせてご覧ください。

すでにあるPDFにしおりを付けたい

無料の方法はありません。現実的な選択肢は2つです。

①元の文書を直してPDFを作り直す(推奨)

元のWordがあるなら、見出しスタイルを当てて書き出し直すのが最も速く、費用もかかりません。PDFを直接いじるより確実です。

②Acrobat Proで付ける

PDFしか残っていない場合はこちらです。

  1. 「表示」→「表示切り替え」→「ナビゲーションパネル」→「しおり」でしおりパネルを開く
  2. しおりを付けたいページを表示し、表示位置や倍率を調整する
  3. その状態でしおりを新規作成し、名前を付ける

しおりは「開いたときの表示状態」ごと記録されます。倍率がずれていると、飛んだ先で読みにくくなります。

なお作成者によって編集が禁止されているPDFでは、しおりを作れません。

しおりが表示されないとき

付けたはずのしおりが見えない場合、多くはパネルが閉じているだけです。

  • Acrobat Reader——画面左端のしおりアイコンをクリックする
  • Microsoft Edge——ツールバーの目次のアイコンから開く
  • スマホアプリ——メニューから目次・しおりを選ぶ

それでも空なら、そのPDFにはしおりが入っていません。見出しスタイルが当たっていなかった可能性が高いので、元の文書を確認してください。

よくある質問

Q. Acrobat Readerでしおりを追加できますか?

できません。Acrobat Readerは表示専用で、しおりの追加も削除もできません。作成には製品版のAcrobatが必要です。無料で作るなら、元のWordから書き出してください。

Q. Wordで設定したのにしおりができません

見出しスタイルが当たっていない可能性が高いです。文字を大きくして太字にしただけでは、Wordは本文として扱います。「ホーム」タブから「見出し1」などのスタイルを適用してください。

もう1つの原因は、Ctrl+Pの「印刷」でPDF化していることです。「名前を付けて保存」を使ってください。

Q. しおりと本文の目次、どちらを入れるべきですか?

長い資料なら両方です。しおりは画面で読む人に、本文の目次は印刷して読む人に効きます。しおりは印刷されません。

Q. しおりの階層はどう決まりますか?

見出しのレベルがそのまま反映されます。見出し1が最上位、見出し2はその下にぶら下がります。Word側で階層を整理しておけば、しおりも自動的に整います。

Q. PDFを圧縮したらしおりが消えました

印刷し直す方式で圧縮すると、しおりは失われます。ページの見た目しか引き継がれないためです。しおりを残したい場合は、別の圧縮方法を使うか、圧縮後に付け直す必要があります。

Q. しおりの名前を後から変えられますか?

Acrobat Proなら変更できます。無料の範囲では、元の文書の見出しを直してPDFを作り直すのが確実です。

まとめ

  • しおりは画面左のパネルに出る目次。本文の目次とは別物で、印刷されない
  • Acrobat Readerでは作成も削除もできない。元の文書で作るのが無料の唯一の道
  • Wordは見出しスタイルが前提。太字+文字を大きくしただけではしおりにならない
  • 書き出しは「名前を付けて保存」→「オプション」→「次を使用してブックマークを作成」→「見出し」
  • 「印刷」でPDF化するとしおりは作られない。既存のしおりも消える
  • PowerPointはスライドのタイトルがしおりになる。タイトル枠がないと出ない
  • Excelからはしおりを作れない
  • 既存PDFに付けるにはAcrobat Proが必要。元の文書を直して作り直すほうが速い

PDFの編集全般は無料でPDFを編集する方法にまとめています。

参考・出典