PDFを白黒(グレースケール)にする方法|印刷だけ白黒にする設定と白黒PDFで保存する手順
会社のプリンターはカラー印刷が有料。あるいは「資料は白黒で」と社内ルールで決まっている——PDFを白黒にしたい場面は、印刷コストの話とセットでやってきます。
ただし「白黒にする」にはまったく違う2つの意味があり、ここを取り違えると手間だけかかります。この記事では両方の手順を、無料でできる範囲を明確にして解説します。
まず整理|「印刷だけ白黒」と「ファイルごと白黒」は別物
| 印刷するときだけ白黒 | ファイル自体を白黒に変換 | |
|---|---|---|
| 元のPDF | カラーのまま残る | 白黒に変わる |
| 向いている場面 | 手元で刷るだけ | 白黒データを提出・配布する |
| 費用 | 無料 | 無料(やり方に制約あり) |
| 手間 | チェック1つ | 印刷し直しが必要 |
自分が刷るだけなら、前者で十分です。ファイルを変換する必要はありません。「提出先から白黒のPDFを指定された」ときだけ、後者を使います。
印刷するときだけ白黒にする|無料・最速
Adobe Acrobat Readerの場合
- PDFを開き、「ファイル」→「印刷」(Ctrl+P)
- 印刷ダイアログの「グレースケール(白黒)で印刷」にチェックを入れる
- 「印刷」をクリック
元のPDFはカラーのままです。この設定は印刷時だけに効きます。
チェックが薄くて押せないとき
よくある詰まりどころです。「グレースケール(白黒)で印刷」が淡色表示になっていて、クリックできないことがあります。
この場合は「詳細設定」ボタンを開き、「設定」メニューが「Acrobatのデフォルト」になっているかを確認してください。別の設定が選ばれていると、このチェックボックスが無効になります。
Microsoft Edgeの場合
Acrobat Readerを入れていなくても、Edgeだけでできます。
- PDFをEdgeで開き、Ctrl+P
- 「その他の設定」を開く
- 「カラー」の項目を「白黒」に変更する
- 「印刷」をクリック
なお項目名はバージョンによって「カラー」「色」と揺れがあります。見当たらない場合は詳細設定の中を探してください。
設定したのにカラーで出てくるとき
設定箇所が二重にあることが原因です。アプリ側(Acrobat・Edge)とは別に、プリンター側のプロパティにもカラー設定があります。
アプリで白黒にしてもプリンター側がカラー優先になっていれば、カラーで出ます。印刷ダイアログの「プロパティ」を開き、カラー/モノクロの設定も白黒に揃えてください。会社の複合機ではこちらが効くことが多くあります。
白黒のPDFファイルとして保存する
ファイルそのものを白黒にしたい場合です。Windowsの標準機能だけで無料でできます。
手順|Microsoft Print to PDFに印刷する
- PDFを開き、Ctrl+Pで印刷ダイアログを出す
- プリンターに「Microsoft Print to PDF」を選ぶ
- 上で説明した方法で白黒(グレースケール)に設定する
- 「印刷」をクリックすると保存先を聞かれるので、別のファイル名で保存する
紙には出ません。白黒に変換された新しいPDFファイルができます。
この方法で失われるもの
印刷し直して作り直す方式のため、元のPDFが持っていた情報の一部は引き継がれません。
- しおり・目次
- リンク(クリックできるURL)
- 注釈・コメント
- フォームの入力欄
見た目は同じでも中身は作り直されています。必ず別名で保存し、元のカラー版を残してください。上書きすると元に戻せません。
この「印刷し直して作り直す」考え方は、PDFの圧縮でも使う定番の手です。
正式な手段はAcrobat Proのプリフライト
品質を保ったまま変換したい場合、正式な手順はAcrobat Proのプリフライト機能です。
「すべてのツール」→「印刷工程を使用」→「プリフライト」と進み、検索欄に「白黒」と入力して「カラーを白黒に変換」を選び、フィックスアップを実行します。
有料のAcrobat Proの機能ですが、7日間の無料体験があります。入稿用など品質が問われる場面ではこちらを使ってください。
白黒にするとファイルサイズも小さくなる
副次的な効果ですが、実務では見逃せません。白黒化するとファイルサイズが小さくなります。
特に効くのがスキャンしたPDFです。スキャンでは紙の地色や影までカラー情報として記録されているため、白黒にするだけで大きく軽くなります。
「メールに添付できない」と「カラー印刷したくない」を同時に解決できる場面があるということです。
注意点|グレースケールと白黒は同じではない
用語が混同されがちですが、実際には別物です。
| グレースケール | 白黒(モノクロ2値) | |
|---|---|---|
| 色 | 白〜黒の灰色の階調あり | 白と黒だけ |
| 写真 | 見られる | つぶれる |
| 文字 | やや薄くなることがある | くっきりする |
| サイズ | 小さくなる | さらに小さい |
プリンターやアプリで「白黒」と書かれていても、実際の処理はグレースケールであることがほとんどです。本当の2値化はスキャナーの設定で選ぶ場面が中心になります。
写真や図が含まれる資料なら、グレースケールを選んでください。2値化すると判別できなくなります。
色で区別していた資料は読めなくなる
これが最大の落とし穴です。グラフの系列を色だけで分けている資料は、白黒にすると区別がつきません。
赤の折れ線と青の折れ線が、どちらも似たような灰色になります。凡例を見ても照合できません。
白黒での配布が決まっているなら、元の資料の段階で対策しておくべきです。
- 線の種類を変える——実線・破線・点線
- マーカーの形を変える——丸・四角・三角
- 模様(パターン)で塗り分ける
- グラフに直接ラベルを置く——凡例に頼らない
Excelから作る場合はPDFに変換する前に整えておくと、あとの手戻りがありません。
よくある質問
Q. 白黒で印刷したら、元のPDFも白黒になりますか?
なりません。「グレースケール(白黒)で印刷」は印刷時だけの設定です。ファイル自体を白黒にしたい場合は、Microsoft Print to PDFに印刷して別ファイルとして保存してください。
Q. 「グレースケール(白黒)で印刷」が押せません
「詳細設定」を開き、「設定」が「Acrobatのデフォルト」になっているか確認してください。別の設定が選ばれているとこのチェックボックスは無効になります。
Q. 白黒に設定したのにカラーで印刷されます
プリンター側の設定が優先されています。印刷ダイアログの「プロパティ」を開き、プリンタードライバーのカラー設定もモノクロに変更してください。設定箇所が二重にあることが原因です。
Q. 無料で白黒PDFに変換できますか?
できます。Microsoft Print to PDFに白黒設定で印刷すれば、白黒のPDFファイルが作れます。ただししおり・リンク・注釈は失われます。品質を保つならAcrobat Proのプリフライトを使います。
Q. 白黒にするとファイルは軽くなりますか?
軽くなります。特にスキャンしたPDFは、紙の地色や影までカラー情報として持っているため、効果が大きく出ます。
Q. オンラインの変換サービスを使ってもいいですか?
社外に出せない資料では避けてください。アップロードが発生します。Windowsの標準機能だけで完結する方法があるため、そちらを使うほうが安全です。
まとめ
- 「印刷だけ白黒」と「ファイルごと白黒」は別物。自分で刷るだけなら前者で足りる
- Acrobat Readerは「グレースケール(白黒)で印刷」にチェック。押せないときは詳細設定で「Acrobatのデフォルト」を選ぶ
- EdgeはCtrl+P →「その他の設定」→「カラー」を「白黒」
- 白黒にしたのにカラーで出るのは、プリンター側の設定が別にあるから
- 白黒PDFとして保存するには「Microsoft Print to PDF」に印刷する。無料だがしおり・リンク・注釈は失われる
- グレースケールと白黒(2値)は別物。写真があるならグレースケール
- 色で区別したグラフは白黒で読めなくなる。線種・マーカー・ラベルで対策する
印刷設定全般はPDFを印刷する方法にまとめています。
参考・出典
- PDFを白黒(グレースケール)に変換・保存する方法(Adobe)――印刷時のみ白黒にする方法とファイル自体を変換する方法の違い、Acrobat Proのプリフライト手順、スキャンPDFでサイズが小さくなる理由
- PDFの印刷設定を変更する方法(Adobe)――印刷ダイアログの設定項目







