見開きPDFを1ページずつに分割する方法|無料の手順とうまく割れないときの調整
スキャンした冊子やカタログを開いたら、2ページ分が横長の1枚になっていた——いわゆる見開きPDFです。画面では小さくて読みにくく、印刷しても縮んでしまいます。
これを1ページずつに割りたい。無料でできますが、正攻法の機能があるわけではなく、少しコツが要ります。この記事では手順と、うまく割れないときの調整方法を解説します。
まず整理|「分割」には2つの意味がある
ここを取り違えると、いくら調べても目的の情報にたどり着けません。
| 文書を分ける | ページを割る(この記事) | |
|---|---|---|
| やること | 1つのPDFを複数ファイルに分ける | 1ページを左右2つに割る |
| 例 | 10ページを5ページ×2ファイルに | 見開き1枚を単ページ2枚に |
| ページ数 | 合計は変わらない | 2倍になる |
「PDF 分割」で検索して出てくる情報の大半は前者です。前者をお探しならPDFを結合・分割する方法をご覧ください。この記事は後者を扱います。
無料でできる方法|「ポスター」印刷を使う
Adobe Acrobat Readerにはポスター印刷という機能があります。大きなページを複数の用紙に分けて刷る機能ですが、これをPDF出力に流用すると、見開きを2ページに割れます。
無料で、インストールも不要、アップロードも発生しません。会社のPCでも使える現実的な方法です。
手順
- 見開きPDFをAcrobat Readerで開き、Ctrl+P
- プリンターに「Microsoft Print to PDF」を選ぶ
- 「プロパティ」を開き、用紙サイズを分割後に欲しいサイズにする(A3の見開きならA4)
- 「ページサイズ処理」で「ポスター」を選ぶ
- 倍率を「99」にする
- 「重なり」を「0」にする(初期値のままだと両方に同じ部分が入ります)
- 右側のプレビューで、2枚に割れているか確認する
- 「印刷」をクリックし、別のファイル名で保存する
プレビューの確認を飛ばさないでください。ここで割れ方が分かります。全ページ処理する前に、まず1ページ目だけで試すと失敗が減ります。
うまく割れないときの調整
ここが本題です。一発で決まることはあまりありません。
| 症状 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 3枚以上に分かれる | わずかにはみ出している | 倍率を下げる(99→98→97…) |
| 1枚のままで割れない | 用紙が大きすぎる | 用紙を小さくするか倍率を上げる |
| 端が切れる | 倍率が高すぎる | 倍率を下げる |
| 同じ部分が両方に入る | 「重なり」に値が入っている | 重なりを0にする |
なぜ数値が資料ごとに違うのか
ネットで手順を探すと、ある記事は「99.9%」、別の記事は「125%」と書かれていて混乱します。どちらも間違いではありません。
適切な倍率は「元のページサイズ」と「用紙サイズ」の比率で決まるからです。スキャンした資料のページサイズは中途半端な数値になっていることが多く、A3ちょうどとは限りません。
だから「この数値を入れれば正解」は存在しません。プレビューを見ながら0.1〜1%刻みで動かす——これが唯一確実なやり方です。
右綴じの資料は順番が逆になる
日本語の書籍やカタログでよく起きる問題です。
ポスター印刷は常に左から右へ割ります。ところが日本語の右綴じ資料は右のページが先です。そのまま分割すると、ページの順番が入れ替わります。
対処は分割後の並べ替えです。PDFのページを並び替える方法で、2ページずつ入れ替えていきます。
ページ数が多いと手作業では現実的ではありません。その場合は次の「そもそも」の項を検討してください。
そもそも分割せずに済ませる
手間を考えると、こちらのほうが早い場面があります。
①スキャンの時点で分割する
会社の複合機には「見開き原稿を2ページに分けてスキャンする」設定があることが多くあります。「見開き分割」「ブック分割」といった名前で、原稿の設定画面にあります。
これから読み込むなら、後で加工するより圧倒的に楽です。右綴じ・左綴じの指定もできる機種が多く、順番の問題も起きません。紙の書類をPDFにする方法もあわせてご覧ください。
②画面で読むだけなら拡大で足りる
配布や印刷が目的でなく、自分が読むだけなら——ビューアの表示倍率を上げてスクロールすれば済みます。分割の手間に見合わないことは多くあります。
③印刷したいだけなら分割は不要
紙に出すのが目的なら、見開きのまま大きい用紙に印刷するほうが簡単です。設定はPDFを印刷する方法にまとめています。
注意点|失われるものがある
この方法は印刷し直してPDFを作る仕組みです。そのため元のPDFが持っていた情報の一部は引き継がれません。
- しおり・リンク・注釈
- フォームの入力欄
また元のファイルは必ず残してください。倍率の調整をやり直すことになるため、上書きすると戻せません。
オンラインツールについて
ブラウザで分割できる無料サービスもありますが、ファイルのアップロードが発生します。社内資料や個人情報を含む書類では避けてください。ポスター印刷の方法ならPCの中だけで完結します。
よくある質問
Q. 倍率は何%にすればいいですか?
資料によって違います。まず99%で試し、3枚以上に分かれるなら下げ、1枚のままなら上げてください。元のページサイズと用紙サイズの比率で決まるため、決まった正解値はありません。
Q. Acrobat Readerがない場合はどうすればいいですか?
ポスター印刷はAcrobat Reader特有の機能で、Microsoft Edgeの印刷画面にはありません。Acrobat Readerは無料で入手できます。導入できない環境では、複合機のスキャン設定で分割するほうが確実です。
Q. 全ページまとめて処理できますか?
できます。ただしページごとにサイズが違うと、一部だけ割れ方がずれます。まず1ページ目でテストし、うまくいってから全ページに適用してください。
Q. 分割したらページの順番が入れ替わりました
右綴じの資料で起きます。ポスター印刷は左から右に割るため、右のページが先の資料では順番が逆になります。分割後に並べ替えるか、スキャンの段階で右綴じを指定してください。
Q. 画質は落ちますか?
作り直しになるため、多少落ちることがあります。元が文字中心のスキャンPDFなら、実用上は問題にならない範囲です。
Q. 逆に、1ページずつのPDFを見開きにできますか?
できます。印刷設定の「複数ページを1枚に」(2in1)を使います。手順はPDFを印刷する方法で解説しています。
まとめ
- 「文書を複数ファイルに分ける」と「1ページを左右に割る」は別物。検索でつまずく最大の原因
- 無料の方法はAcrobat Readerの「ポスター」印刷+Microsoft Print to PDF。インストールもアップロードも不要
- 用紙サイズは分割後に欲しいサイズにし、倍率99%前後、重なりは0
- 正解の倍率は資料ごとに違う。元のページサイズと用紙サイズの比率で決まるため、プレビューを見ながら調整する
- まず1ページ目だけでテストしてから全ページに適用する
- 右綴じの資料は順番が逆になる。分割後の並べ替えが必要
- これから読み込むなら、複合機の「見開き分割」設定を使うほうが圧倒的に楽
- 印刷し直す方式のため、しおり・リンク・注釈は失われる
参考・出典
- AcrobatまたはAcrobat Readerを使用してポスターやバナーを印刷する(Adobe)――「ページサイズ処理」の「ポスター」で1ページを複数の用紙に分けて印刷できること、および「倍率」「重なり」「タイルマーク」「ラベル」「大きいページのみを分割」の各設定項目







